マルトが考える
環境問題

マルトが考える環境問題

魚介類の減少と国内自給率

 魚介類が減って、魚介類の国内自給率は現在50%にまで落ちたといわれています。魚介類の減少は産卵後付加した稚魚が食べるプランクトンの激減が主な理由の一つとされていますが、その背景にあるのは自然環境の破壊です。
 森の減少、工場や家庭からの排水、農薬や重金属に汚染された河川、その河川も、堰や護岸工事によって生命力を失っています。また湿地帯や湖沼の減少や干潟の生産性低下も原因と言われています。
 さらに、海水温の、地球規模での変化。海中の1℃の変化は地上の5℃にも匹敵するそうです。100mの深みまでの攪拌が起こらなくなることで栄養分が行き 渡らず、汽水域では塩分濃度が濃くなり過ぎて微生物や小動物が死に絶えてしまうのではないかという、怖い死の海を予告する報告もあります。
 いつもふんだんにあると思って飽食をせず、日本の足元を見てほしいと思います。

魚たちがおかれる環境問題

 温暖化、海水温上昇やエルニ-ニョ、暖冬で雪不足、陸から汚染物質流入で海洋汚染、六ヶ所村核廃棄物処理で放射能汚染の危機、稚魚や成魚の餌不足や海藻の減少磯、魚種交代説やクジラの増加による食物連鎖体系の崩れ、乱獲、ノロウイルスから長引いた貝毒等、魚介類を取り巻く環境は悪い話題に事欠きません。
 加えて輸入魚の高騰も進行しています。これは欧米やロシア、中国に代表される安全・安心・健康を考える、富める人達の旺盛な食欲が魚を世界の価格競争商材にし、産地から日本への搬入を絞り日本を飛び越えて魚にお金を出す国に搬入されている背景があるのです。
 ここ数年のあいだ、中国・ 韓国・タイが自国消費と加工で欧米への輸出をしているために、石巻魚市場も15センチから30センチのマダラの幼魚さえ入札価格が5倍に跳ね上がり、スルメイカも2倍強。逆に獲れすぎた寒サバは 2006年には数万トンを缶詰用で輸出、サンマや北海道の鮭、スケソウタラに加えて年間5000トンも取れるホヤに至っては60%以上も輸出されているのです。燃料が3倍に跳ね上がった漁船は、入札価格が上がり漸く一息ついたが、上手く行かないもので 漁がない、魚が少ない、取れすぎれば価格暴落・・・これは何故でしょうか。
 これは海外の方が評価が高く、輸出した方が儲かるからです。日本の川下では流通業に代表されるように自然天然の魚介類や加工品への評価が極端に低く、安売りに慣れ「相場や価値観」が見えなくなっているのです。
 さらに食べる側が色んな理由を挙げているのも大きな問題になりつつあります。部屋が臭くなる、頭や内臓が臭い、料理が面倒、時間がない、料理が分からない、子供が嫌い、骨がある、単価が高 い、肉のほうが簡単・・・このままでは、病気や餌の高騰にあえぐ畜産業界の肉と比較し、安全性や健康面から、ますます魚食を取り入れている外国との食の競争に負けてしまうのではないでしょうか。
 国内自給の大切さが分からない日本人。多様性のある魚種を多様な食べ方で食卓を飾ることに真剣に取り組まないと、食は心身ともに一番大切なものの一つであることということを忘れないでほしいと切に願います。